むかしむかし、あるところにおじさんと青年が暮らしておりました。

「左近、茶」
「はいはい、少し待ってください」

 どちらかといえば、おじさんのほうがこき使われている側ですが、おじさんはそれが自らの定めと感じているため、全く不満とは思いません。青年も、年長者をこき使うことに特別抵抗を覚えているようには見えません。
 お二人は親子でもなければ、爺孫の関係でもありません。ましてや、同じ籍の人間でもなく、とても不思議な関係なのです。




大きな布