あんな細い刀で、俺の首は落ちるのか。
六条河原という、昔から政治犯が多く処刑される場所がある。そこに俺は今から連れて行かれる。政治犯だなんて、とんでもない汚名だ。けれど、勝利したものが正義となる。認めたくはないが、そういうものだ。
時の運というものがある。
信じてはいないが、どうやらそれが無かったらしい。
それが無かったのなら、きっとどうしようもないことだったのだろう。
源頼朝の例がある。将たる者、一度敗れたからといって死ぬことはない。逃げることは無様ではない。逃げ、生きて、また再起を図る。そして勝利する。
彼には時の運があったのだろう。俺には無かった。
誰が俺を笑おうと、俺は生きる。
いつ、どういったどんでん返しがあるかもわからない。首を落とされる寸前まで、俺には生き残る可能性が残されている。
どんなに惨めであろうと生き延びることが肝要である。その惨めさなど取るに足らない至福が待っているかもしれない。
11/01