「まるで、作り物みたいな目ですね」
「……そうか?」
「ええ。プラスチックみたいです」
「……わからん」

左近はそう言っていた。
そんなことを突然思い出して、不思議な懐古に襲われる。
なぜ左近をそんなことを言ったのか、ちっとも理解できなかった。脈絡も無かったし、その話はそこで終わってしまったからだ。
今となっては、その理由をあれこれ想像するしかできぬ。
どうして俺の目がプラスチックなのだろう。
思うに、俺は感情表現が乏しいとよく言われるから、それが起因となったのではないだろうか。ほとんど感情の無い目、だから作り物、プラスチックなのではないだろうか。

しかし、ならば左近のほうがよっぽど作り物の目をしていると思う。
左近の目を思い出した。確かに笑うが、あいつの笑顔はうさんくさい。目が笑っていない。
だから、作り物みたいだ。

多分、次に会うときも作り物みたいな目をしているのだろう。あいつも、俺も。
俺はこの目に、あいつしか映していない。
だが、あいつの目は、なにを見ているのだろうか。











09/12