09:その時計は5分早い
三 + 幸
「あの時計が五分早いことで俺におこる弊害はなんだと思う」
「えっと…、早弁でしょうか?」
「五分早弁か」
「早弁です」
「違うだろう?」
「わっ、三成先輩!その笑顔は反則ですよ!」
「む、そうかすまない。なるべくこれから笑わないよう心掛ける」
「いや違うんですけどね…」
「ん?」
「え?」
「……ん?」
「へ?」
「だから、あの時計が五分早いことで俺にどういう障害があるかをだな」
「あ、はあ。早弁でしょうか」
「違うだろう?」
「もう!先輩はなんて言ってほしいんですか!」
「いや特別なにかを言ってほしかったわけじゃ…、でも早弁はないだろう」
「無いんですか…」
「第一、俺は昼メシは三時限目と四時限目の間の休み時間に食う」
「早弁じゃないですか!でも私は二時限目と三時限目の間に食べます」
「はやっ…いな」
「朝ごはんを」
「おそっ…いだろう」
「いっつも寝坊するので」
「しかし高校はいいな。何時に食っても怒られん。義務教育はいかんな」
「三成先輩、意外と食べるんですね…」
「ああ、モリモリだ。ムシャムシャ食うぞ。じゃがりこ」
「弁当はっ?!」
「ポテリッチコンソメトッポ時たまフランそしてたけのこの里だ」
「弁当は…?」
「俺はたけのこの里派だ」
「…それが弁当なんですね」
「うむ。マイウーとやらだ」
「死語ッ」
「? 死語はラテン語だろう?」
「いやラテン語も死語かもしれませんがちよっと違いますよ!?マイウーっていつの時代ですか!」
「流行の最先端だろう?」
「誰に聞いたんですか!」
「兼続だが」
(か ね つ ぐ せ ん ぱ ー い !)
「…あ、その、なんだ。俺は流行に疎くてな…、変なことを言ったのならば、…すまん」
「あっ、いえ!三成先輩のそういうとこ私好きです」
「…幸村……」
「先輩…」
「あの時計だが5分進んでるとしたら昼休みオーバー10分だ」
「ぎゃあ!」