08:マラソン競技
五人
「あ…、兼続先輩…」
「幸村か。マラソンはいいな!穢れが浄化していくようだ!」
「へ?あ、はい、そうですね!」
「寒い中、風邪に打ち勝つために体を動かす。そして穢れを浄化する。なんと効率のいい科目だ!」
「マラソン大会ですからねえ」
「これは、義だ!」
「義なんですか?!」
「そうだ。学校による生徒への義だ!」
「よくわからないですけれど…、感謝しなくてはなりませんね!」
「そうだぞ幸村。しっかり学校に感謝し、マラソンに励むぞ」
「ドラマチーック!」
「ゆっ、幸村待て!いきなりスピードを上げては…」
「ドーラーマーチーック!」
「……まだ走り始めたばかりだというのに。まったく、しかたのないヤツだ」
パカラッ
パカラッ
パカラッ
「ん?なんの音だ?」
ヒヒィーン
「…猛獣?!」
「どけどけー」
「三成!なにをしている!」
「兼続か。今なんの時間か忘れたのか?向寒マラソン大会だぞ」
「それくらいわかっている!なぜマラソン大会で馬なんか乗ってるんだ!」
「…兼続。俺は室内型だ。こんな競技クソ食らえだぞ」
「だからそのためにマラソン大会で体を鍛えるきっかけをだな!」
「ふん、知るか。いざ、一位になり体育会系のヤツらをぎゃふんと言わせてやる!」
「馬が走ってきたら誰だってぎゃふんと言うだろう!」
「アデュー!」
「あ…、コラ三成!」
ヒヒィーン
パカラッ
パカラッ
「行ってしまった…。なんと、なんと不義!」
ばたばた
「おー、兼続!三成さんを見ませんでしたか?こっちに来たはずなんですけど」
「島先生…。三成なら不義と業を背負い馬に跨って行ってしまいましたよ」
「マジですか!なんで止めてくれなかったんですか!」
「馬より速い人間じゃないからな、私は」
「ああもう!非常識な人だあの人は!」
「そうだな、マラソン大会で馬という以前にどこから馬をという…」
「三成さん!俺の馬を返してください!」
「……馬持ちか…」
「行くぜアルマンダイン!三成さんを追いかけるぞ!」
「わふっ」
「い、犬…」
「じゃ、マラソン大会励んでくださいね」
ばたばたばたっ
「…むう。今の男は墓持ちがいいと言うが、馬持ちは…」
ばたばたばた
「お?兼続じゃねえか。なにしてんだそんなカッコで」
「なにって、マラソン大会だぞ。慶次こそこんな草むらでなにをしているんだ」
「いやあ、そんなの野暮っちゅうもんだろ。そういや、さっき三成と島の旦那さんが豪快な追いかけっこしてたぜ。お前もここにいればよかったのになあ」
「追いかけっこか。一応見るには見たぞ」
「馬を乗り回すなんて、三成はなんか乗馬の経験でもあんのかね?」
「聞いたことはないが…、もしかしたらあるのかもな」
「しっかし、三成もすごかったが島の旦那もそりゃあ激しかったぜ。たくさんの野良犬を訓練したみたいに操るんだもんな!」
「なに?アルマンダインは野良犬だったのか!?」
「おかげで、俺のお友達も全員連れてかれちまったがな。いやー、さみしいさみしい」
「野良犬が友達なのか…」
「しかも変な名前つけられちまったんだよ、かわいそうになあ」
(アルマンダイン以上に変な名前が…)
「俺はもう行くぞ。慶次もしっかりマラソン大会に参加しろよな。不義だぞ」
「気ーがむーいたーらなー」
「…」
(しかしどうしてこうも皆不義を働くのだ。マラソン大会は学校の義だぞ)
ばたばたばた
「兼続先輩!島先生を見ませんでしたか?」
「幸村?島先生ならさっき三成を追いかけにあっちにいったらしいが…」
「そうなんですか…、じゃあちょっと行ってきます」
「あ、待て!マラソン大会は…」
「マラソン大会という義に応える前にしっかりと頭を下げようかと思っているんです」
「言葉よりも態度が問題だぞ?」
「でもあと島先生だけなんです。じゃあ失礼します!」
ばたばた
「……不義の輩どもめえええ!!」
(直江さんはとりあえず「義」!「不義!」って叫んでればそれっぽいという思い込み)(ていうか無駄に長い。直江さん出ると長くなるかも)04/01