04:屋上だけの勇者
三 + 慶 ぼのぼの
雲ひとつ無い快晴の今日、屋上で豪快な寝息を立てていた慶次さん。
昼休みに一寝入りしよう、と寝てしまってから数時間。
すでに放課後へ突入してしまいました。
どんどん日は暮れていき、あたりはオレンジ色に染まっていきました。
慶「・・・あ?」
カーカー、とカラスの鳴き声にようやく目を覚ました慶次さん。
ガバッと起き上がり、ぼりぼりと頭をかきます。
慶「・・・」
しばらくして事の次第を把握したのか、よいしょと起き上がります。
さてどうするか、としばし悩みましたが、用事も無いしさっさと帰るか、と歩き始めます。
ばたーん
そこへ、なにやら不穏な空気を漂わせた数名がやってきました。
慶「ん?」
放課後の屋上に不穏な空気、なんとなく予想がつくものですが、慶次さんは特に気にせず帰ろうと歩き始めます。
慶「お、三成じゃねえか」
三「慶次、か」
不穏な空気を漂わせていたうちの一人が、三成さんだということに気がついた慶次さん。
ぴたりと足をとめ、片手を上げて挨拶をします。
慶「どうしたんだい、そんな怖い顔をして」
三「ふん、呼び出しだ」
と、じろりと会話に参加していない男性二人を睨みます。
慶「放課後の屋上ねえ…。イジメにはうってつけだとは思うが、三成を呼び出すのは利口じゃないねえ」
三「逆だ」
慶「あ?」
三「俺が、呼び出したのだ」
慶「…へえ?」
アゴに手をあて、男性二人と三成さんをジロジロと見る慶次さん。
眉間にシワを寄せて、意味がわからないと肩をすくめます。
慶「これまたどうして?」
三「コイツらは、俺の大事な後輩の幸村をバカにしたあげく恐喝するでな。兼続は不義がうんたら言ってたから俺が勝手にやっているのだ」
慶「はあ…」
これまた、後輩思いのいい先輩じゃねえか。
慶次さんは真っ青な顔をしている男性二人を見ながら、ニコニコ笑っていました。