26:流した汗の分だけは

四人と犬










左「いっちにっさんっしー」

「「「アールソックー!」」」

左「ホームセキュリティーは」

「「「アールソックー!」」」


犬「貴様ら! 校内を走り回るなじゃあかあしいっ!」


幸「山犬さんが仲間にいれてほしいそうです」

左「オッケー」グッ

犬「なにっ?! わしはそんなこと、むしろ遠慮したいくらいだぞ!」


左「いっちにっさんっしー」

「「「やーまいっぬー」」」

左「ホームセキュリティーは」

「「「やーまいっぬー」」」


犬「ええ加減にせんかい!」

兼「ええいうるさいぞボケがいわすぞ」

犬「お前はなぜわしに対してツンなんじゃ!」

幸「ほら、弱い犬ほど……」

犬「わしは犬ではない!」

三「お手」

犬「……」さっ

左「お回り」

犬「まいごのまいごのこねこさんーって違う!」

左(お回りの意味が違う……! なんて高度なボケなんだ!)

兼「ほう、山犬の分際でノリツッコミをするとは」

犬「……」震

幸「震えていますよ」

兼「トイレか? トイレはあっちだぞ」

犬「……ブジョク罪じゃ」

兼「安心しろ。犬には人間の法律は適用されない世の中だ。残念だったな。生まれる時代を間違えた。生類哀れみの令とかある時代に生まれればよかったのにな……」

三「動物愛護団体に加入している俺だが」

左「そうだったんですか」

三「山犬、かわいそうに。人里に下りてきてもろくなことはない。山へお帰り」

犬「わしは人間じゃ!」

幸「犬も人間も、大して問題じゃないと思うんですよ。結局、動物じゃないですか」

兼「人と他の動物を大きく隔てるものは理性があることらしい」

左「あ、これ、食べますか?」

犬「なんじゃ」

左「うちん家でミケっていう猫を飼ってるんですけど、そのミケが大好きなイワシです」

犬「猫じゃないか!」べしっ

兼「不義!」

犬「お前のわしに対する扱いが不義じゃ!」

幸「ハウス!」

犬「! ……帰る」

三「さすがだ、幸村」



左「はい、いっちにっさーんしっ」

「「「アールソックー」」」

左「ホームセキュリティーはー」

「「「アールソックー」」」


三「流した汗のぶんだけ、ひとは強くなるのだ。がんばれ山犬」

左「無理やりシメちゃった!」


07/06