02:購買の新作パン
五人
兼「三成…、それはなんだ?」
三「しらぬか?一週間前に購買部からでた新作・ぬかづけパンだ」
兼「……どうりで、ニオイが」
三「におうか?」
兼「ああ、とっても」
三「おかしいな、毎日風呂には入っているのだが…」
兼「いや、あ、うん。そうか。それはおかしいな」
三「……冗談が通じぬこの歯がゆさ!」
兼「あ、やっぱり冗談だったか。すまぬ、三成が言うと本気でわからない」
三「ふん、よくあることだ」
兼「お前が言うとシャレにならぬからな」
三「よく言われるぞ」
兼「…で、そのパン、味はどうだ」
三「食うか?」
兼「いや、遠慮する。間接キスは不義だ」
三「男同士でなにを言う。…ああ、オトシゴロか?」
兼「男同士…。それもそうだな。しかし遠慮させてもらう。やっぱり不義だ」
三「食いたくないなら素直にそう言えばいいだろうが」
兼「いや、決して食べたくないワケではない。ただ…」
三「ただ?」
兼「島先生が…」
三「左近がどうした」
兼「三成、いくら恋仲とはいえ、教師を公衆の面前で呼び付けはよくないぞ」
三「ぶっ」
兼「あ、汚い」
三「こっ…いなか!そんなワケあるか!」
兼「直江兼続、義と愛のことならお見通しだ」
三「間違った指摘をして得意げになるな!俺と左近はただのお隣りさんの昔なじみだ!」
兼「ほお」
三「俺が産まれて以来、よく世話をされていたのだ」
兼「ふうん」
三「ああもう!ぬかづけパン、食うのか?食わぬのか?」
兼「ふむ…、なら一口」
がぶ
三「………」
兼「…」もぐもぐ
三「……お前の一口はでかいのだー!」
兼「…」ごっくん
三「ぬかづけが…一週間たってようやく手に入れたぬかづけが…」
兼「安心しろ。ちゃんと残っているではないか」
三「しかしこれは…」
ドドドドド
左「直江ー!」
兼「わっ、島先生」
左「見ていましたぞ一部始終!」
三「…左近」
兼「いつから見ていたんですか?」
左「三成さんが購買部に並ぶところからです!」
兼「一部というか全部ですね」
三「…あ、左近」
左「なんですかい?」
三「これ、やるぞ」
ぎゅむ
左「……」もぐもぐ
兼(静かになったな)
三「うまいだろう」
左「…はい」
三「まあ左近にはぬかづけがお似合いだぞ」
左「…あ、三成さん」
三「なんだ」
左「これ、あげますよ。ろくに昼飯食ってないでしょう」
三「こっ…これは!」
兼「購買部本日発売の新鮮・海の幸プラス豚肉アンパ○マンパンではないか!」
左「新作に目がないのは昔からですからね」
三「感謝するぞ、さこ…
幸「やめてくださいー!」
どんっ
三「あっ…」
ばさっ
慶「幸村ー!いいから屋上に行こうぜー!ケンカしようやー」
幸「イヤですって!これから授業ですよ!」
慶「おいー!…と、ん?」
(あ…)
慶「パン?もったいないことするヤツもいるねえ。よし!俺がちゃんと食ってやるぜ、安心しな!」
兼「けい…
慶「おい幸村ー!」
三「パン……」