15:青春について

左 + 三 SS










「俺の青春とはなんだろうか」

「え?…暗号解読とか、サボりとか、机に落書きとかしてましたよね。それが青春じゃないんじゃないですか」

「そうか…。俺の青春とはかくも、小さいのだな」

「いきなりシリアスになっちゃって…。お年頃ですか?」

「ああ、オトシゴコロだ」

「落とし心?」

「左近を落とす年頃だ!」

「ぎゃあ!」

「俺の青春カモン!」

「ココをどこだと心得ている!」

「学校」

「いきなり冷静にならないでください」

「男心と秋の空、とな」

「秋の空もずいぶんと気まぐれですね」

「ふふん、いい勝負だぞ」

「どっちが勝ちますか?」

「え? なにと?なにが?」

「男心と秋の空」

「いきなりことわざを言うでない。そもそも、『女心』だろう」

「いや日本語のこの例え、元来は『男心』なんですよ」

「ほ?」

「女心と秋の空、っていうのは新しい言葉なんですよ。英語圏の似たようなことわざがあって、その影響じゃないかってね。もともと日本で変わりやすいのは『男心』だったのだ、と」

「へええええ、左近の悪知恵は」

「悪知恵?」

「しくった。左近の知恵袋は今日も冴えてるな」

「いちおう国語の先生なんですけどね」

「誰にでも間違いはある」

「そういうお年頃なんでしょうかね?」

「左近を落とす年頃っ!」

「オトシゴコロッ?!」



05/19