13:窓際の天使
義トリオ + α
三「近頃、おもしろい話を聞いてな」
兼「なんだ?」
三「なんでも、『窓際の天使』なる人間がいるらしい」
兼「と、いうと」
三「俺が教務室の窓際でキノコを栽培していることは知っているな」
兼「ああ、それが不義なのか義なのか、あつく討論したな」
三「結局『どちらでもない』で終わったのだがな」
兼「ああ、その答え自体が不義だと思うのだがな…」
三「それは後日ゆっくり話し合おうか」
兼「そうだな。で、窓際の天使だが」
三「うむ。窓際の天使はどうも、教務室に現れるらしい」
兼「で?」
三「その窓際の天使とやら、どうやら俺のキノコを勝手に栽培してやがるようだ」
兼「なんと!」
三「窓際の天使は毎日放課後、俺のキノコに水をやり、憂い気に語りかけているようだ」
兼「なんということだ!」
三「信じられるか?」
兼「ノン」
三「事実なのだ。クラスの誰かが実際に放課後、教務室の窓が見える中庭で見たと言っている」
兼「なんという不義だ。三成の愛あふるるキノコに勝手に水をやるなど」
三「キノコは水をあげすぎると、腐る」
兼「そうなのか?」
三「ような気がする。だってアイツら、ほっといても生えるし」
兼「それもそうか」
三「俺の!俺の!!俺のキノコに語りかけるなど!!これは糾弾するしかあるまい!」
兼「そうだな、三成。私も一緒に、窓際天使をとっつかまえよう」
三「と、言うわけで。今日の放課後、つまり今から付き合ってもらうぞ」
兼「きゃっ、付き合う?直江ドッキーン」
三「どうした直江」
兼「言ってみたかっただけだ。だから名字で呼ばないでくれ。疎外感を感じる」
三「俺の脳内から急速に疎外したのだが」
兼「いやだ。直江は不滅だ」
三「俺の脳から疎開してもらおうか」
兼「悪かった。謝るから。それは、寂しい」
三「さて行くか。中庭に」
兼「教務室ではないのか?」
三「中庭で窓天使を見つけるのだ」
兼「よし、ま天使捕獲大作戦だ!」
てくてく。てくてく。
三「さて中庭だ」
兼「うむ」
幸「あ、三成先輩っ、兼続先輩!」
三「幸村。なにをしているのだ、こんなところで」
幸「いえ、部室に行こうとしたら姿が見えたので」
兼「そうか。ところで私は本日火急の用のため部活には行けぬ」
幸「そうなんですか?中庭にいるのに?」
兼「ここにいること自体が用事なのだ」
三「幸村は知っているか?マンシの話」
幸「え?マーシー?」
兼「窓際の天使だ」
幸「あ、ああ。聞いたことあります。なんでも、放課後の教務室の窓際にふっと現れる美しい人らしいですよ」
兼「え?美しいの?」
幸「はい。私も聞いた話なんですけれども、どうも髪が長く、色が白く、上品に整った顔だと聞きましたよ」
兼「…」
幸「兼続先輩?」
三「気にするな。今兼続はムラムラしている」
兼「ムラムラとか言うでない!」
幸「…」
兼「引いちゃいやだ。俺の信仰している神の名を言ってみよ!」
「「愛染明王」」
兼「どういう教えだ!」
三「煩悩と性欲で向上すること」
兼「…もうちょっと補足して」
幸「煩悩と性欲はどうしようもないから否定せずに頑張ろう」
兼「おおまかなところそうだ」
三「だから今ムラムラしていることを開き直ったのだろう」
兼「ムラムラはしていない。興味がとても湧いたのだ。義としての興味はあったが今、愛としての興味も湧いたのだ」
幸「どちらにせよ、いきなり服脱がないでくださいね?」
兼「愛染明王は別に、理性を捨てよなどと教えてはいない」
三「あ!あれを見よ!マンシだ!」
兼「美人か!」
幸「窓際の天使!」
三「・・・」
兼「・・・」
幸「・・・あの」
三「よし、教務室に行くか」
兼「そうだな」
幸(急激にがっかりしてる・・)
てくてく。てくてく。
三「失礼します」
兼「お頼み申す」
幸「失礼つかまつる」
三「国語科の島教諭にお会いしたいのだが」
秀「ほ?左近かえ?左近なら、窓際にいると思うで。入室許可するから入りや」
三「ありがとうございます」てくてく
兼「うむ」てく
幸「あい」てく
三「……左近ッ!」
左「あれ、三成さん?」
三「お前俺のキノk
兼「不義の徒を討ーつ!!」飛
左「ほあっ?!」
兼「美人だというから期待したのにお前!お前のどこに美人の要素がある!」蹴
左「ほぶあっ」
三「俺のキn
幸「そうですよ!他に類を見ない絶世の美女だっていうから、市先生や濃姫先生かと期待しちゃったじゃないですか!」
三「おr
左「ちょ、なんのことですか?!」
三「俺のキノコに水をやり会話をして愛撫するなど言語道断だ!!」
左「…? すみません、ちょっと早口だったので聞き取れなかったのですが…」
兼「美女ならば聞き取れたはずだ」
左「なんですかアナタは」
三「俺のキノコ…、を、俺から奪い!仲睦まじいところを見せつけ!愛撫することが許せぬのだ!!」
左「ちょ、変なところを強調しないでください。俺が明日から噂の的になりますから」
兼「不義だ!不義だ!」
幸「許すまじ!」
左「ちょ…、あの、本当になんなんですか…」
秀「…左近…、お主…」
左「わ、豊臣さん。バットなタイミングでこんにちは」
秀「……教え子の彼女を横取りなど…いかんぞ…」去
左「わ、ナイスな勘違いされたままバットにさよならしちゃった」
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