ジョンコの罪

義トリオ + 左









三「……む、なんだこれは」

兼「団子だな」

幸「お団子ですねえ」

三「それは見てわかる。だが、団子の上のあの……、カゴ?……明らかに、下等な罠だろうが……」

兼「罠? そんな不義をしかけるやつがいるものか」

幸(純粋な人だなあ)

三「あれを罠とせずになんと見るのだ」

兼「あれは団子にゴミがつかないようにそっと載せてあるゴミ避けだ。そして食べ終わった団子の串を捨てるゴミ箱にもなるという多機能満載なカゴに違いない」

三「拡大解釈はいい加減にしろ。あれは団子を食べようとするアホをとっ捕まえるための装置だ。非常に原始的な、な」

兼「……よし、三成の不義の心を正すために私がためしてくれよう」

三「引っかかったら一週間『義』と『不義』を言わないこと」

兼「罠ではなかったら一週間『左近』を『サコタロス』と呼ぶこと」

三「よくわからないがそれでいい」

幸(話に入る隙がない)

兼「あ、もし、万一どちらでもなかった場合はどうする?」

三「そんな場合があるのか」

兼「もしかしたら、だ」

三「一週間歯茎を見せながら生活しろ」

兼「一週間ガニマタで生活しろ」

三「一週間独り言を言いながら生活しろ」

兼「一週間深呼吸して生活しろ」

三「一週間お祭りで売ってる……、カチューシャにピコピコ光るビヨヨヨーンがついたあれをつけて生活しろ」

兼「一週間雨乞いの踊りをして生活しろ」

三「一週間リップケアをするな」

兼「一週間デレで生活しろ」

三「一週間トイレに行くな」

兼「一週間笑顔で生活しろ」

幸(ちょ、罰ゲームがどんどん増えてく! 話に入らなくてよかった)

三「……むう、少し増えてしまったな」

兼「ああ、ムキになりすぎた」

三「まあ兼続の仮定の次にありえない可能性だからいいだろう」

兼「じゃあ、ちょっと試してくる」

三「まて」

兼「ん?」

三「幸村がなにもないのではかわいそうだ」

幸「巻き込まれるほうがかわいそうだと思ってくれればよかったのに」

兼「そういえばそうだな。じゃあ私が間違えていたらさっきの罰ゲーム全部でいいかな?」

幸「よりによって兼続殿が間違えた場合……! 真田の未来が絶望に彩られた瞬間をごらんになりましたか!」

三「お前が正解のはずがないのだから、俺が間違えた場合にしておけ」

兼「む……、おや、あれを見てみろ」

三「なんだ?……あれは、ジョンソンモコモコカペチカではないか」

幸「誰っ?! 誰がそこにいるんです?!」

兼「幸村、大声を出すな」

幸「どうして私が怒られ……」

三「最近左近は耳が遠くなってな……、長宗我部元親を素で『ジョンソンモコモコカペチカ』と聞き間違えたのだよ。だから俺はそう呼んでいる」

幸「いったいどういう状況下で会話をしていたのか、興味がわきました」

兼「しかし長宗我部殿……、あの団子を狙っているのだろうか?」

三「うむ……。今にも食べそうな目をしている……」

幸「お腹が空いているのでしょうか」

三「そういえば、ジョンソンモコモコカペチカは近頃『凄絶に腹が減っている』とフラフラしながらやってくる。ずっと腹が減っているのだろう」

兼「なにかあげればよかったのに」

三「干し梅をあげたら喜んでいたぞ」

幸(空きっ腹に干し梅……、三成殿はもしや、鬼畜!)

兼「そうか。干し梅はうまいからな」

三「左近が『米あげましょうよ、米』と言っていたのだが、ジョンソンモコモコカペチカは海の人だからしょっぱいものがいいと言ってやった」

幸「梅干はすっぱいでしょう」

三「あ……」

兼「このこのっ、天然さんめえ」つんつん

三「しくったな……。あ、見ろ、ジョンソンモコモ……ええいくそ! 言いにくい!ジョンコを見ろ!」

兼「むっ、食おうとしている!」

幸「あ、食べた!」

三「……」

兼「涙が出るほど美味かったと見える」

三「くそ……食べたかったな。くれないかな」

幸「一度口にいれたものを? もらうのですか?」

三「左近はくれる」

幸「……親鳥と雛鳥みたいですね」

兼「三成の場合は『もらう』というか『吸い取る』だからな」

三「……しかし、結局あのカゴの意味はわからなかったな」

幸「あ、あれを見てください」

兼「むむっ……、カゴを手に取った! 串を捨てる気だな!」

三「そんなばかな!」

幸「いえ……違いますね」

兼「……? あれはなにをしているのだ?」

幸「構えてますね」

三「……投げた」

兼「ブーメラン?」

三「……」

兼「もしや……あれは食後の運動用のカゴだったとでも言うのか……ッ!」

幸「……これは最悪の結末ですよ。パターン三ですよ」

兼「ふ……。よかろう。よし、皆で、一週間歯茎を見せながらガニマタで独り言を言いつつ深呼吸しながらお祭りで売ってるビヨヨンカチューシャを装着しつつ雨乞いの踊りをしてリップケアをせずデレデレでトイレに行かず笑顔で生活しようではないか! 私は『義』『不義』を一切言わず、三成は島殿を『サコタロス』と呼ぶのだぞ」

幸「兼続殿、顔が真っ青です」

三「……これなんて羞恥プレイ?」

幸「三成殿、顔が黄土色です」

兼「幸村……、お前、泣いているぞ」

幸「どのツラをさげてそんなことを言うのですか。元はと言えばお二人が変なことを言い始めて……」

三「俺は悪くないッ!」

兼「私も悪くないッ!」

幸「じゃあ誰が悪いのですか!」

三「……ジョンコ」









左「……殿、左近は実家が恋しゅうございます……」

三「はは、奇遇だなサコタロス。……俺もだ」


クネッ、ビヨヨーン、ニコッ、スッスッハー


左「……殿……、なにがあったか、教えてください……」

三「俺もなにがあったか知りたい。顔色が悪いようだが、少し寝不足ではないのか?」

左「……直江殿でも真田殿でもいいッ、誰か助けて!」ダッ


兼「はは、島殿が大暴れしているぞ」

幸「あはは、そうですね」


クネッ、ビヨヨーン、ニコッ、スッスッハー

クネッ、ビヨヨーン、ニコッ、スッスッハー

クネッ、ビヨヨーン、ニコッ、スッスッハー















おわり!クネッ、ビヨヨーン、ニコッ、スッスッハー
09/05
『春と修羅*』の小鹿秋浩さまにささげる相互記念文です。
本当になんだか申し訳ないお話になっていましてクネッ、ビヨヨーン、ニコッ、スッスッハー。
笑いどころがあまりないお話ですが受け取ってくださると嬉しい、です!クネッ、ビヨヨーン、ニコッ、スッスッハー
ではでは、相互ありがとうございました!こんな文章送りつけるというご迷惑を申し訳ありません!
蛇足:ジョンソンモコモコカペチカは私と友達の間に起きたすれ違いです。実話です。(カルは、神様だと、思う、よ!)