かゆみ
兼 + 三
三「だからポロシャツってオシャレなのか俺にはよくわからんのだ」ボリボリ
兼「何を言う。オシャレだ。オシャレ達人幸村も絶賛ではないか」
三「だってポロシャツってすごくおっさんくさいと俺は思うぞ」ボリボリ
兼「それは着こなしの問題でだな、似合う人間が着れば……」
三「確かに幸村のポロシャツは若々しくて『青年!』って感じがしてとても良いと思うがな……」ボリボリ
兼「そうだろう。そういうものだ。おっさんが着ればポロシャツもおっさんくさいし、青年が着ればポロシャツは新緑薫る清々しいものなのだ」
三「じゃあ兼続、お前のそのポロシャツは」ボリボリ
兼「後者だろう?」
三「……」ボリボリ
兼「さっきからお前はなぜ太ももを掻いているのだ」
三「かゆいからだ」ボリボリ
兼「左右両方とも? 外側が? 同時に?」
三「同時多発ムズムズでな」ボリボリ
兼「乾燥する時期だからな。保湿しておけよ」
三「まるで俺がカサカサ肌だと言いたげだな」ボリボリ
兼「カサカサ肌ではないと信じているが、気をつけろと念には念をだな」
三「安心しろ。これはカサカサ肌からのムズムズではない」ボリボリ
兼「ほう、ではそれは何ムズムズなのだ?」
三「毛ムズムズ」ボリ
兼「……お前ってそこまで毛深かったか?」
三「残念なことに俺は毛が薄い」ボリボリ
兼「だよな。私より薄いよな。それなのにどうして」
三「俺毛ムズムズではない」ボリ
兼「じゃあ誰毛ムズムズなのだ?」
三「左近毛」ボリ
兼「島殿毛か」
三「そうだ。さっき、左近と昼寝をしていたら、左近のスネ毛いっぱいモリモリの膝に絡めとられてな、かぶれた」ボリ
兼「皮膚が弱いんだな、三成は」
三「ああ、意外と弱いぞ。だからもっといたわってほしい」ボリ
兼「具体的に私にどうしろと」
三「そのポロシャツやめようよという誘いだ」ボリボリ
兼「いやだ」
三「……ぶっちゃけ似合わないもん」ポリ
兼「もんとか言っても誤魔化されないぞ。第一、ポロシャツが似合わないわけがないだろう、この私が」
三「第一ボタンまでしっかりしめているから、ダサく見える」
兼「だっ……ださ……?!」
三「それとその微妙なボーダーもダサい」
兼「これがオシャレなのだ!」
三「センスないな」
兼「なんでそういうこと言うの」
三「別に君がさ、ポロシャツを着ていても俺は偏見しない。飽くまでも俺は、だ。でも他の人がどう思うかと考えるとなんだか胸が苦しくて困る」
兼「恋じゃん」
三「え、きも」
兼「きも?」
三「きも……が冷えることを言うな」
兼「ごめん」
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