ゲーム

トリオ + 左









幸「ペコ? ペコ?」かぱっ



兼「……幸村がッ」ぶわっ

三「わっ、ちょ、突然マタの下から顔を出してくるなんて、お前俺を驚かせるのが趣味なのか?」

兼「そんな趣味は断じてない」

三「じゃあなにが趣味なんだ?」

兼「幸村の成長を見守ることが私の趣味だ」

三「それなんてストーカー?」

兼「あああ! 幸村と言えば!」

三「んー……、歯茎って感じだな」

兼「そんな連想は求めていない!」

三「幸村と言えばーって言われたら幸村っぽいものを想像するだろう」

兼「え、ちょ、歯茎?」

三「反応が遅い」

兼「ああもうつべこべ言わすに私の話を聞きなさい!」

三「……さこーん」

左「殿の理想を阻むものはこの左近が断つ!」

兼「…………なっ、なにを立たせる気だ!」

三「……」

左「殿、その顔はちょっと放送禁止です」

三「……」ぶるぶる

左「ちょっ、あーもう直江ばか! 殿が泣いちゃったじゃない!」

兼「なっ、なに……」

三「……」

左「あーはいよしよし。あっち行ってましょうね。ええ、なにが欲しいですか。え、直江さんモデルのサンドバック?……しかたないですねえ、左近が今夜作っておきますから……ええ、泣き止んでください」

兼(……泣きたい)

三「汚い大人は嫌いだ!」

左「あーはいはいはい、直江さんはいないいないしましたから、ほら、左近がいるから見えないですよ。わあよかった」

三「もう帰る」

左「ああ、そうですか。左近はちょっと後処理があるので後から行きますから」

三「うむ」



左「……はあ」

兼「家臣って子守もするんだ」

左「元はと言えば微妙な下ネタをあなたがですねえ……」

兼「私の背にある愛の字をなんと心している」

左「あー……もういいです。で、香典はいくらくらいお供えすればいいですか?」

兼「いや、金品はいらない。気持ちさえあれば充分だ」

左「そうですか、手間が掛からなくて嬉しいです」

兼「え、いやいや、待て待て。落ち着け。待て。私をどうする気だ」

左「処理しようかな……と」

兼「普通にナシ」

左「最後に梨が食べたいのですか?」

兼(島殿は天然だった)

左「どうしましょう。梨って言われてもなあ」

兼「それより私の話を聞いてくれ」

左「冥土へ向かう前の最後のお話ですか。どうぞ」

兼「幸村が、変だった」

左「……そうですか。もういいですか?」

兼「いやいやいやいやいや……」



三「ぐすん」


左「あっ、殿がまた誰かに泣かされてる! 殿ー!」ダッ




兼「……うわ、みんな超不義なんだけど」

幸「あ、兼続殿!」

兼「うおっ、幸村」

幸「私のペコちゃんのミルキーが無くなっていたのですが知りませんか?」

兼「……ん? さっきのペコペコ言いながらくるくるしていたのはそれか?」

幸「あ、見ていられたのですか」

兼「……まて。ミルキー?……ミルキーってあの、包み紙に入っているキャラメルみたいなやつだったかな」

幸「はい。包み紙にペコちゃんの顔が十個あるとラッキーらしいです」

兼「……ごめん、私……、食べた」

幸「……常に笑顔を浮かべていられればいい、そんな穏やかな人になりたいと、私は常々思っていました。……それって難しいことなんですね」

兼「……ごめん。怖いから笑わないで」



三「……」ぐすん

左「えっ、ちょっ、殿、なに? なんでそんな泣いてるんですか」

三「幸村かわいそう」




左「えっ、なに? なにか妄想でもしていたんですか? えっ、ちょ、左近のお財布もってどこに行く気なんですか! 一年分のミルキーってなんの話ですか! とのー!」






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