ぬっこぬこ

義トリオ









前略

真田幸村は織田信長に執拗なまでに反感を持っていました。



三「ほう……、あれか、長篠のことか?」

幸「ええ、お恥ずかしながら……根に持ってさまざまな嫌がらせをしてしまったこともありました。今は反省しています。冥福を祈っております」

兼「なんだか愛のない口調だな」

幸「誰もが兼続殿にはなれないのですよ」

兼「そ、そうか……、あいや、すまなんだ」(なんだか幸村が怖かった)

三「参考までに聞いてみたいのだが、嫌がらせとは主にどんなことをしたのだ?」

幸「ぬっこぬこにしてやりました」

三「ぬ……、ぬっこ? ぬこ?」

兼「具体的にどんな嫌がらせなのだね」

幸「真田自慢の透波を信長公の寝所へ忍ばせ、ぬこで部屋を満たしてやりました」

三「ぬこってなんだ」

兼「ねこのことだ。ほらなんだ、幸村はなまってるだろう、たまに。最初は『ぬご』って呼んでいたのだが、最近はにごらなくなってぬこになっているのだ」

三「よく知っているな」

幸「それでもあのマッポめ、応えた様子を見せないので私自ら赴き、枕元にぬこを添えたり、ふんどし付近にぬこを押し込んでみたり、髷をこぬこにじゃれさせてくっちゃにしてみて『やらいでか!』と怒ったところぬごが犯人だと知って怒るに怒れないという状況を作ってみたりしたのですがなかなか功を奏さなかったので、ぬこを投げました。最終的にはねこっこも投げました」

三「そうか」(ねこっこって……、子猫のことかな)


幸「そうしたら信長公は見事に受け止められ、私に、私が投げたぬこと手持ちのぬこを投げ返してこられたのです。ですから私も、私の全てのぬこをもってして太刀打ちいたしたという成り行きにあります」

兼「それが、ぬっこぬこにしたということか……」

三(キャッチねこじゃないか)

幸「ですが父上がとうとう『遊んでいる暇があったら働きなさい』と言うので帰ってきました。その帰る途中に本能寺の変があり、中国大返しの最中だった秀吉様と三成殿に会ったわけです」

三「え、あ、会ってないぞ。その記憶はおかしいぞ。全体的に捏造されている」

幸「当時ニートであった私のことなど気にも留めておられなかったのでしょう」

兼「幸村が自虐的になってしまったぞ」

三「むう……。幸村、嫌がらせとはその、ぬっこぬこにしたということのほかはないのか?」

幸「フルぬっこにしてやりました」

三「またねこ!」

幸「ぬっこぬこが効かなかったので、もう少し趣向を変えてみようと思いフルぬっこにしました。しかしぬこが猛烈な加齢臭とそこはかとないタマネギの香りをかもしだす信長公を嫌って近寄らなかったので諦めました」

兼「幸村のところのねこ、会ってみたいなあ……、かわいいだろうなあ」

幸「ねこにはイカとかそういう消化の悪いものは不適切なのでどうぞご堪忍ください」

兼(堪忍してくれって言われてしまった)

三「ねこ以外にはなにかないのか?」

幸「ぬこ以外に……、歯を抜いたり、ウィルスとか送りつけました」

三「さ、細菌兵器か?」

幸「いえ、山田ウイルスに感染するアドレスを記したメンルです」

三「幸村の言っていることがさっぱりわからん」

兼「つまり幸村は嫌がらせをしていたということだ」

三「なるほど、合点がいった」

幸「今思えば、それが原因で信長公は油断し、本能寺に倒れたのでしょうか……」

三「さすがにそこまでは影響を及ぼしているとは思わないが」

幸「……当事ニートだったからってばかにしないでください。これでもやることはやる立派なニートだったのですよ」

兼「やることをやっていないからニートなのではないか」

幸「虫歯を治すために歯科医にかかっていたのです。基本的に仕事なんてしている暇なんてありませんでした」

三「歯科医に入りびたりすぎではないか。歯科医も怒るぞそのうち」

幸「だから、その対策として信長公に嫌がらせしに出ていたのです。それに、たまに長篠に行ったり、三方ヶ原に行ったりなどしていました」

兼「幸村、お前って不思議な男だな」

幸「あまり褒められると顔から湯気が出てしまうかもしれません。この湯気は毒性を含む可能性があるので真田はこれにて失礼いたします」しゅん



三「兼続」

兼「なんだ」

三「これからは幸村を怒らせないようにしようと思う」

兼「賢明な判断だ。三成の将来は明るいぞ」



真田幸村は織田信長の死を厳かに悼み、焼け跡となった本能寺にねこを添えておきました。


草々






10/13
(ニコ動の噂の動画の中期米を見た頃から幸村は信長に対して根に持っていると洗脳されました)