あなたの家はどこですか

三成 + 兼続 + 左近










いらいらいら



兼「三成、機嫌が悪いようだな」

三「あ、ああすまぬ」

兼「踊ろうか?」

三「は?」

兼「え?」

三「…は?」

兼「いや、踊ろうか?」

三「なんで?」

兼「いや気がまぎれやしないかと」

三「頭の病か?」

兼「冗談だ。さっきより機嫌悪くなってるぞ」

三「ああ、そうだろうな」

兼「否定しないんだな」

三「真実だからな」



左「殿はさっき、福島殿や加藤殿と派手に言い合ったんですよ」



兼「…なるほど」

三「左近、すぎたるはおよばざるがごとしだぞ」

兼「三成のまっすぐな性格、私は好きだがどうにも誤解を招きやすいらしい」

三「えっ?す、好き?」どきっ

左「殿、落ち着いてください」

兼「しかしいきなり性格を丸くしろといったとこでできるはずもないな」

三「いきなり丸くできるのは頭くらいだな」

左(そんな殿もイイかも…)

兼「そこでだ、皆が親しみやすいようにあだ名をつけるというのはどうだ」

三「あだ名…?」

左(わあこの人超無責任なこと言い始めたよ)

三「そんなものいらぬ」

兼「まあそう言うな、みつお」



左(なに―――?!)



三「みつお…?」

兼「あだ名のひとつだ。どうだ?」

左「どうだじゃないですよ!その自信はどこからでてくるんですか?!うちの殿に変なこと吹き込まないでください!」

三「…話を、きこうではないか」

左「殿はノリノリー!フォウ!」

三「左近、うるさい」

左「……」

兼「私が徹夜で考えたあだ名たちだ」



しゃきん



がりがりがり



左(なんでわざわざ剣で床彫るんだろう。誰が直してくれるんだろうまあいいやアホはほっとこう)



がりがり



みつお、脱サラ、いなり、シミ、コンコン、こんちゃん、コーン、おみっちゃん、い…


左「あのー、かねつぐさん」

兼「なんですか、まだ書き途中だ」がりがり

左「意味がわからないもん殿の部屋に彫らないでください」

兼「……しかたない。ついでに大一大万大吉も彫っておくか」がりがり





いしだいいちだいまんだいきち




左「あなたぶっちゃけ大一大万大吉とかどうでもいいだろ?」



三「かねつぐ、これが俺のあだ名か」

兼「そうだぞ。どうだ!友のため徹夜で考えのだ!好きなものを選ぶといいぞ」

左「本当、どこからそんな自信が出てくるのか不思議ですな」

三「左近」

左「へい」

三「俺には選べぬ。左近が選んでくれ」

左「え」

三「どれも魅力的でな、一つには選べぬ」

左「殿、本当に魅力的だと…

三「シャラーップ!せっかくバカネツグが徹夜で考えたのだ。無下にするわけにはいかぬ!」

兼「そうだ!義のために愛のために!……三成、いま…?」

三「それにしてもどうしたものか」

兼「みつなりさーん?」

左「あだ名ねえ…。親しみやすくておぼえやすい…。『殿』でいいじゃないですか」

兼「あの…みつな…」

三「おまえはな」

兼「いやあのすいませんさっき…」

三「かねつぐ、うるさい。ハウス!」





兼続は城へ帰っていきました。