想像力

四人(下世話ネタ)










兼「きょーおはなーんのっひっ、ふっふー」

幸「ゴンザレスの命日、一周忌です…」

兼「す、すまない…」(ゴンザレスって誰だ)

幸(かわいいゴンザレス…安らかに)

兼「き、気持ちを切り替えてだな!今日はここになにをしに来たか説明出来るかな?」

幸「はい!バカニスンナヨ!三成殿に新しい扇をプレゼントしに来ました!」

兼「よくできたなー。 ところでどこでそんな言葉を?」

幸「慶次殿が兼続殿にバカにされたらいいなさいと」

兼「んー…、私が幸村のことをバカにするなど、そんな不義を働くものか!」

幸「自覚がないなら尚タチが悪い」

兼「タチの対義語はなんだと思う?」

幸「えーっ」(タチって、質のことですよね…。質…、質の反対…?質…、質とは天性のものであるから…、生来のもので…、ええ?対義語?!ねーよそんなもん! あえて言うならば…)

兼(ふふ…、考えてる考えてる)

幸「努力」

兼(努力?!)「ネコだ」

幸「ぬぅううぇこ?!」

兼「ネコだ」

幸(なんで猫なんでしょう…、わからない…、兼続殿が寸分もわからない…むしろわかりたくない…)

兼(ネコ…、努力するネコ…。それはそれでおもしろいな)

幸(タチって…、一歩譲っても『立ち』に変換したとして、対義語は『座り』で納得できるのに…、猫?! なんか三成殿にプレゼントする扇重たいな。なんで兼続殿は手ぶらなんだろう)

兼「お、三成の障子だ」

幸「わっ、部屋ですね!」ばたばた

兼「幸村ッ、シッ!」べしっ

幸「いだっ! あだあああっ!」ゴッ

兼「静かにするのだ」

幸(いたい…、三成殿の扇が爪先に…痛い…痛い…)「?」



左『あ、ちょっと殿、動かないでくださいって』

三『いやだっ!痛い!』

左『大丈夫ですって。痛いのは最初だけですよ』

三『いつまでたっても痛いものは痛い』

左『慣れればなんか気持ちいいですって』



兼「昼間の情事だ」

幸(昼間のジョージ…、ジョージさん…)「兼続殿、鼻血が」

兼「む、すまん。条件反射でな」

幸「イヤな条件反射ですね」

兼「…幸村」

幸「はい」

兼「この襖を開けることは義と不義、どちらになるだろう」

幸(ただの変態でしょう)「不義です」

兼「なぜだ」

幸「二人の邪魔をすることになるからです」

兼「しかし昼間からそんなことに勤しんでいるな、という牽制の意味での義になるかもしれぬ」

幸「とどのつまり兼続殿は覗きたいのですね」

兼「そんなことは断じてない」



三『なにが気持ちいいだボケッ』



兼「ナニだ!三成」

幸(恥ずかしい…)



左『えー?やっぱ、抜いたときに、おー!こんなに!みたいな』

三『わからんぞ』



幸(抜いたときにっ?! マニアックだ…)

兼「抜いたときに例の白くてドロドロしたものが出てくるのがいいのか」

幸「出来れば黙ってくれませんか。胸が苦しくなってきました」

兼「発情?」

幸「そんなアホ面で私を見ないで下さい」

兼「アホ面だと!」



三『でもな、抜いても際限がないだろう。すぐに生えてくるではないか』



兼「島殿のアレは抜けば生えてくるのか…」

幸(……あ! この人恥ずかしい勘違いしたままだ)



左『あー…、でも切るよりは抜くほうがいいですよ。切ったら太くなって生えてくるじゃないですか』



兼「……幸村、私」

幸「ダメです。切っちゃだめです」



三『それをほっておくとどうなる。俺になにか問題はあるのか』

左『えー、そりゃあ、ほっとけば伸びますし、太長くなるじゃないですか。問題は…、邪魔くさい?』



兼「邪魔くさくなるまで伸びるのか…、怖いな…」

幸(いい加減気づいたらいいのになあ)

兼「いやいやいや…、不義だろう不義」

幸「そろそろ現実に帰ってくることも検討されたらどうでしょう」



三『別に邪魔ではないぞ。男らしいではないか』

左『じゃあ、左近の気持ちも考えてみましょう』

三『左近の?』

左『ふと、きれいな顔をした殿の寝巻きの隙間から見えるんですよ。それが』

三『いいではないか』



兼「ネコのほうが大きかったらショックだろうなあ」

幸「そりゃ猫のが大きかったらショックでしょうけど…」

兼「ああ。男としてなんだかやるせない」

幸「ええ…」



三『毛ぐらい』



兼「毛かーい!」ばたーん

幸(あ)

三「ぬおっ?!」

左「ええっ?!」

兼「なんだそのありがちなオチは!私の夢と希望と愛と義を裏切るなど不義ではないか!」

幸(夢と希望まで抱いて…)

三「はっ、はあ?」

幸「改めてお聞きしますけれど、お二人はなにをしてらっしゃたんですか?」

兼「ナニに決まってるだろう!」

左「は?」

幸「あ、安心してください。兼続殿はなにかの病気なんです。主に頭の」

三「なんなのだ一体…。俺はただ、左近がどうしてもというからムダ毛をの処理をさせていたのだ」

左「殿ったら無精者でね、スネ毛の処理を怠るんですよ」

三「必要無いと言っているのに、どうしてもというのだ」

左「だってイヤなんですもの。きれいな顔した上司のスネ毛」

兼「そうか…スネ毛の話だったのか…」

幸「兼続殿はずっと恥ずかしい勘違いをしたままでした」

三「どんな勘違いだ?」

幸「ずっと島殿と三成殿が」

兼「私の恥を晒して楽しいか、幸村」

幸「真実です」

左「なんとなくどんな勘違いしていたかわかりました」

三「左近、教えてくれ」

兼「イーヤーダッ!」

幸「兼続がダダをこねはじめたので内緒です」

三「兼続、今すぐダダを撤回しろ」

兼「ダダ撤回!ダダッカイ、ダダかーい」

左(…とてもくだらない…)

幸(どう反応したらいいかわからない…)

三(…すごいおもしろい)「兼続、おもしろい。やっぱりお前と友達でよかった」

兼「おお三成!」がばっ

左「あーあーあーちょっと、人んトコの殿に勝手に抱きつかないでくださーい」

三「ああ、そうだ兼続。お前、『義はなんでもできる』と常々言っているな」

兼「ああ。義の力は海よりも深く山よりも高い」

三「じゃあその力で俺のわき毛を永久脱毛してくれ」

左(あ、スネ毛は許せてもわき毛は許せないんだ)

兼「まかせろ。 …幸村」こそっ

幸「はい?」

兼「三成に向かって『毛がモッサモサの男らしい三成殿に憧れます』と言え。感嘆符もつけてだ」

幸「毛がモッサモサの男らしい三成殿に憧れます!」

三「よし。毛は抜かない」

左「えー…」

兼(ふふ…、これが義、ひいては人の和の力だ…)

幸「あ、三成殿、これプレゼントです」

三「なんだいきなり」

幸「え…、なんで、なんでなんでしょう?なんでいきなりプレゼント渡すんでしょう?」

三「ええっ、いや、俺が聞きたい…、むしろ俺しか問うことの許されない質問だろう。質問された俺の立場は? というかそんなイノセントに問いかけるな」

左「…割れてますよ、これ」

幸「…あ」


(そういえば、落としたっけなあ)



05/13