ハングラッチュ

三成 + 左近










「・・寒いな、左近」

「そうですねえ、寒いですねえ」

「ああ」

「・・・左近の上着は貸しません!」

「誰もそんなこと言ってないだろう」

「殿なら言うかと思ったんですけど」

「・・・寒いな」

「そりゃあ冬ですしな」

「こう寒くては指もかじかんで筆もまともに持てぬ」

「だからといって仕事をサボる口実にゃなりやせんぞ」

「見ての通り今日もマジメだぞ」

「はいはい」

「ただ、字がちょっと・・・」

「ちょっと、なんですか?」

「ちょっと…、俺にしか読めぬということ以外はガッツリ順調だ」

「書き直してください」

「ぬっ…!この俺の努力を認めぬのか、左近!」

「努力は認めますが結果は認めません」

「なぜだ!先生もよく言うだろう。『何事も結果が全てじゃないのよ。その結果にいたるまでの努力の過程が大切なのよ』と」

「あなたの先生はどちらにいらっしゃいますか?一度殴らせてください」

「なに?先生を殴るだと…?婦女暴行で訴えるぞ」

「殿の頭の中はどうなってるんでしょうかね。左近とっても不思議。不思議の国の左近」

「中は見せることはできぬが外側ならできるぞ」

「つむじを見せないでくださ…、あ、殿、ここに十円ハゲが…」

「む、左近がしょっちゅう話しかけてくるからな。きっとストレスがたまってるのだろう」

「へえ…」

「へえ、とはなんだ、へえ、とは」

「殿は怒りっぽいですからね。…あ、五百円ハゲがありますよ」

「なにっ?!きょっ…巨大なハゲではないか!」

「あ、殿、鳴かなかったらどうしますか?」

「は?」

「だから、ホトトギスが鳴かなかったら」

「まて、左近、脈絡がないぞ。どうした?病気か?」

「いや、今思いついたので」

「………」

「そんなかわいそうな人間を見る目で俺を見ないでくださいよ」

「……カワイソウ…」

「左近のことは置いておいて、殿ならホトトギスが鳴かなかったらどうされます?」

「あれだろう。後々有名になる鳴かぬならうんたらかんたらホトトギスだろう」

「そうです。殿が徳川に勝利した場合、もしかしたら殿のことが詠まれてたかもしれないじゃないですか」

「うむ。左近の発言には少々ツッコミをいれてみたいが考える価値はあるな」

「でしょう」

「ついでに左近、お前も自分のを考えるのだ」

「はあ、左近もですかい」

「お前の脳内に興味があるからな」

「…」

「…」

「…」

「…考えたか?」

「ええ、まあ、ぼちぼち」

「そうか」

「殿は?」

「ああ」

「じゃあ、殿からどうぞ」

「うむ」



『鳴かぬなら 食ってしまえ ホトトギス』



「…どうだ」


(どっ…、どうって…、どうって言えばいいんだコレ)



「焼き鳥、左近は軟骨が好きです」

「む、俺は皮以外だ」

「そうですか。まあ、食い意地はってて殿らしくていいんじゃないでしょうか」

「俺のどこが食い意地はってるのだ。そういう左近はどうなのだ」

「え、俺ですか…」



『鳴かぬなら 遊んであげよう ホトトギス』



「・・・左近らしいな」

「ええ、今までの軍略の知識って改めて戦以外で使い道無いんだと知りました」

「左近は軍略のことしか知らぬのか?」

「いえそんなことないですが、どうも軍略に偏り気味ですな」

「そうか。なら小説を読め。そうだな、おススメは…」

「あ、殿。マンガとか読みます?」

「マンガ…?マンガには興味ないな」

「じゃあゲームは?」

「しないな」

「パソコンは?」

「アングラサイトに行こうか悩んだ日があったが」

「……お年頃」ポッ

「左近、顔を赤らめるな。お前の今の顔、おぞましいぞ」

「失礼ですな」

「拗ねるな」

「…で、殿」

「なんだ」

「仕事の方は、はかどってますか?」



「・・・」






コノヤロウ!