バトル

はっちゃけちゃった佐和山とKYなイカ、天然幸村、呆れる慶次(nanaさま)









三「ふぬっ!……ふぬぅー! ふんぬぅう! うおら! こなくそ! カス! クソガ!」

左「殿、その掛け声、品位が疑われますよ? いったいなにをしてるってんです」

三「左近か、いいところに来た。灯油が給油サインを出しているからな。給油しようとしているわけだ」

左「給油にそんなにエネルギー必要でしたっけ?」

三「いや、灯油ケースが開かなくて奮闘しているのだ」

左「ああ、なるほど」

三「頑張っているうちに暖かくなってきた。正直ストーブつけなくてもポッカポカ。これがエコってやつだな」

左「環境に優しい石田三成ですね」

三「ま、俺は正直エコとかクソクラエと思っているからな。俺はこの灯油を給油するぞ。給油してやるぞ」

左「まあそんなことだろうと思っていました」

三「ということで左近、俺はこのケースを開けられない。頼んだ」

左「殿は非力ですからしかたないですねえ。こんなの左近にかかればちょちょいのちょいっとエキストリィイイム・ルミナァアリオ・マァアックス!!」

三「……で?」

左「あっ……開かない、だと?」

三「エキトリーム・ルミナリオ・マックスだからいけないのだ。そんなのザコの技だ」

左「なに……?」

三「俺にまかせろ。朝の魔法少女アニメ大好き。毎週楽しみでしかたない。プリキュアァアミルキィィイイイローズフローラルエクスップロージョン!!」

左「……」

三「……開かないな!」

左「とんでもないオタク宣言した後にそんな爽やかな顔されてしまってどうしたらいいのか左近にはさっぱりです」

三「しかし左近にも開けられないとなるとは、困ったな」

左「なんでこんなに固く閉めちゃったんでしょうかねえ」

三「知るか」

幸「なにをしてらっしゃるのですか?」

三「おや、幸村ではないか。この灯油のケースが開かなくて苦戦しているのだ。お前の力を貸してはくれないだろうか」

幸「おまかせください! 三成殿のため、この真田、力の限りこの灯油のケースを叩きのめしまする!」

三「開ければいいのだ、開ければ」

幸「はい! たたっ斬ります!」

三「開けろと言っている」

幸「はい! とにかく痛めつけます!」

三「開けてくれ」

幸「はい! つまりゴキャッとします!」

三「そうそう、ゴキャっと……って、やかましいわ!」ゴキャッ

左(……左近からのツッコミ待ちで漫才をしているんですかね……。どうなんだろう……。素なのかな。わからない、まったくわからない)

幸「私がゴキャっとやられました……。すみません、必死すぎて三成殿の言葉を聞いていませんでした。開ければいいんですね?」

三「そうだ、開けてくれ。ひねるだけでいいのだ」

幸「……そいやぁぁあああ!」

三「!」

左「!」

幸「ほぁあああ!……そいそーい!」

三「……幸村?」

幸「……」

三「……」

兼「やあやあ三人とも。随分と楽しそうじゃないか。何をしているんだい?」

幸「空気読めよカス……」

兼「ん? なんか言ったか?」

三「灯油のケースが開かなくて困っているのだ。左近でも幸村でもだめだった」

兼(ふむ……二人にダメだったことができる私スゴイ! ということは三成が私を見直してくれる千載一遇の好機!)

左(あからさまに目が輝き始めた)

兼「まあまあ、ここは私にまかせてみろ」

幸「僭越ながら、私にも開けられなかった強敵ですぞ」

兼「義のためにッ! ふんぬっ!」

幸「話を聞いてほしかったのに」

三「まあ幸村、気にするな。いつものことだ」

兼「愛のために! ぐぬぬぅ!」

左「……あの、ムリはしないほうが」

兼「止めてくれるな島殿よ」

幸「だからそれは島殿も私も開けられなかった強敵で……」

兼「ラブ! ミー! ドゥー!」

幸「話を……」

三「馬の耳に念仏さ」

兼「……これは、なかなか手強いと見受けたぞ」

幸「だからさっきからそう私が」

兼「この私の義の力ですら開かぬとは……残されるは愛の力のみ」

幸(この人は敵だ)

三「愛の力とは、具体的にどうするのだ?」

兼「愛撫する」さすさすさすさす

左「うわあああああ」

兼「時に強く、時に優しく……ほうら、そのうちフタが開いて大洪水さ」

三「なるほど、思いやりが大事なのだな」

幸「雨は降っていませんが……、洪水になるのですか?」

左「うわあああああなんだこの人たち」

慶「なにしてんだあ?」

左「あっ、慶次殿、助けてください。直江さんをリーダーに皆がおかしいんです」

慶「おっ、傾いてるんかねえ?」

左(わくわくさせちゃった! 左近のおばか!)

三「慶次ではないか! 慶次ならきっと開けられるに違いない!」

慶「んー?」

幸「三成殿のフタを開けて」

兼「愛の力で大洪水にしてやってくれ」

幸(またこの人は私の話を聞かない)

慶「わりぃけど俺ァ、そっちじゃねえんだわ。わりぃな」

三「灯油のケースのフタが開かないのだ。お前なら開けられるだろう」

慶「なるほどなあ。そんなにきついのかね?」

三「ふんぬっ! ぬぅ! せいっ!……とまあ、この通りだ」

慶「……」きゅぽっ

幸「?」

慶「ほい。開いたぞ」

兼「さっすが慶次の愛!」

三「慶次すごい!」

幸「すばらしいです!」

左「やっと開きましたか……」

慶「まあ、お前らの回すほうと逆のほうに回したらこう簡単に開いたんだがな!」

三「……え」






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