踏んだり蹴ったり

「修学旅行に行く左近と義トリオ(中学生男子ぽい/三→左)」(ナツキさま)









三「気に入らんな」むすっ

兼「なにがだ? 私の顔か?」

幸「肯定されたら悲しくなって再起不能になるような地雷を自分で踏むなんて兼続さんすごい」

兼「……口がすべっただけだ」

三「兼続の顔は気に入ってもいないが、格別に気に入らないことはない」

幸「……喜びづらい返事がきましたよ」

兼「ふん。知っている。みんな私のこのリップが気に入らないのだろう。小学生のころにはタラコと呼ばれていたからな」

幸「ぶっ」

兼「笑うなああああ!」えいっ

幸「ぶっ」ぼすっ

兼「人には触れてはならないデリケートな部分があるのだよ!」

幸「枕……? いやそれよりも、自爆しておいてそりゃないでしょう!」えいっ

兼「ふぎっ」ぼすぅっ

三(……誰も何が気に入らないのか聞いてくれない)

左「なにが気に入らないんですかね?」

三「あ、先生……」

兼「不義不義不義不義いいい!」えーいっ

幸「ひでぶっ」ぼすっ

三「……修学旅行が気に入らないだけだ……です」

左「ええ? 駄目ですかね、沖縄」

三「駄目なわけではないが、こう、自由行動が少なすぎる……のが、気に入らん……です」

幸「私のどこが不義なんですかあああ!」おりゃああっ

兼「ふぎいっ!」ばしゅっ

左「あー、確かに、少ないですな。結構教師側がぎちぎちにスケジュール組んじゃっててねえ」

三「あと、暑い」

左「まあ、沖縄ですから。海がきれいですよー?」

三「海……」

左「今は夜ですが、明け方の海なんてのもきれいでしょうな」

三「見てみたいものだ。……先生、明日の朝……、えー、あー……」

兼「私の気持ちを踏みにじったことが不義不義不義不義不義!」えいえいえいえいえいっ

幸「わっ! ちょっ、投げすぎですっって」さっさっ

左「ん? 明日の朝?」

三「ここら辺の地理は少しわからないから、明日の朝、海岸に、ぼひょっ」ぼすっ

左(明日の朝、海岸に、墓標?)

兼「……あ」

幸「……私、トイレ!」

兼「あっ、幸村、卑怯! それ卑怯!」

三「兼続」

兼「なっ……、なんだ?」

三「死にさらせえー!」しゅっ

兼「ぽめらっ」どごぉっ

左「おお、枕とは思えない威力だ」

三「あと少しだったのだ! お前、俺の普段の努力を知らないとは言わせないぞ!」しゅっしゅっしゅっ

兼「めそっ、むすかっ、へむっ」ぼすっ、べすっ、ばしゅーん

三「はあ……はあ……」

兼「また努力すればいいだろう」むくっ

左「おお、流石直江。タフさは尋常じゃないな」

三「……だっ、駄目だ! あんな恥ずかしいこと、二度とできん!」

兼「えー? このこの、愛いやつじゃのう。一度目があるのなら二度目もできるものさ」

三「ぬ……ぐ……ぐぬう……」

左「おお、変なうめき声」

三「へっ、変?!」

兼「うむ。百年の恋も冷めるようなうめき声だったぞ」

三「まだ始まってもいないのに、終わってしまったのか……」

兼「なになに。私も幸村もいるじゃないか」ぽんぽん

三「さっ、3Pなどハレンチだ!」

左「3Pって」

幸「……私がトイレに行っている間に、そんなことに……?」

兼「あ、幸村、違う、違うからな。三成の勘違いだぞ」

幸「近寄らないでくださいケダモノ!」えいっ

兼「ほがっ」ぼすっ

三「そうだ! 近寄るな!」とりゃっ

兼「ちょっ、なんで私だけ? おがっ」べしっ

幸「一番、エロそうだからです」はあっ

三「すけべ! すけべ!」ほれっ

兼「こんの、ろくでなしどもがああ!」えいっ、やあっ、そいやっさ

幸「ぶっ」

三「おはっ」

左「うごっ」

兼「……あ」

幸「……地雷男ですね、とことん」

三「ま、枕が、先生に当たった……」

左「なーおーえー……」

兼「すっ、すまなかった!」

左「それが謝る態度かあ!」おらっ

兼「うぱあっ」

三「先生、この三成が助力しよう」

幸「私もケダモノよりティーチャーがいいです」

兼「なっ、この! 裏切り者めええ!」




兼続は理不尽という言葉を覚えた。






08/25